田舎地方公務員の省庁出向サバイバル日記

令和3年度(2021年)に某省へ1年間出向した田舎地方公務員の日記です

このブログについて

閲覧いただきありがとうございます。

このブログは、2021年4月から2022年3月にかけて某省庁に出向した一介の地方公務員の生活をあるがままにしたためたものです。

発見したこと、感じたこと、考えたこと等を、リアルタイムであるがままに書き残していきます。

 

読者は主に「中央省庁出向に興味のある若手地方公務員」を想定しています。

中央省庁出向といえば、「やりがいがある」「全国に人脈ができる」といったポジティブな評判のみならず、「人格が壊れるほど激務」「プロパー職員からパワハラを受ける」などのネガティブな噂も囁かれているところです。

むしろネガティブな話題のほうがメジャーしているかもしれません。

 

このブログを通して、若手地方公務員たちの「中央省庁出向」のイメージがより正確になり、余計な不安を抱かなくて済むようになればと思っています。

 

私自身のプロフィールは、こちらの記事にまとめてあります。

 

oliveoil-mashimashi.hatenablog.com

 

 

総括15

まずは3月の勤務実績をまとめていきます。

 

●業務内容

2月から引き続き、ひたすら国会関係の雑務を回しました。

あとは引継ぎ資料の準備くらいでしょうか。業務らしい業務はありません。

 

●勤怠状況

平日の22営業日のうち、18日間出勤しました。

4日間は在宅勤務です。

引越し準備の関係で在宅勤務させてもらった日を除き、原則出勤しました。

 

総残業時間は約60時間になりました。平均退庁時刻は21時30分頃です。

国会対応が盛り上がるかどうかで退庁時刻が大きく左右されました。

質問が当たらなければほぼ定時、たくさん当たればタクシー帰宅です。

 

 

最後に、一年間の勤務実績を見ていきます。

年間総残業時間(在宅勤務日込み)は約730時間でした。

前任者は800時間ほど残業していたようですが、今年度は在宅勤務を指示された期間が長かったため、昨年度と比べて減少しています。

 

休暇日数は5日でした。ほとんどが夏季休暇です。

こちらは自治体勤務時代とほぼ変わりません。

 

私の自治体だと、財政課が平均1400時間残業しています。

他にも企画課や福祉課あたりも1000時間超えが当たり前です。

「本省出向よりもきつい部署が自治体にも普通にある」という事実が、私の出向生活最大の成果物かもしれません。

 

最後の実績報告も終わりましたので、これにて本ブログは更新を終了します。

一年間お付き合いいただき、ありがとうございました。

総括14

私の出向生活も、残すところあと2日。

明日は最終記事として1年間の定量的なふりかえりをするつもりですが、それに先立ち、今回は定性的にふりかえっていきます。

 

運が良かった

ちょうど一年前の今頃、私はとにかく不安でした。

「年間1,000時間超えの残業に果たして耐えられるのか?」

「本省職員の激詰めに耐えられるのか?」

このような不安でいっぱいで、その結果このブログのタイトルも「サバイバル日記」になりました。そもそも心身健康で帰れる確信が持てなかったのです。

 

実際に1年間やってみて、体も壊さず、心も壊さず、乗り切ることができました。

正直、思っていたよりも楽でした。

少なくともワクチン担当やっている自治体職員のほうが残業時間も長く、間違いなく精神的なストレスも大きいです。

 

それでも当初抱いていた不安が杞憂だったとは決して言えません。

私は運が良かっただけです。

 

私の勤務した局でも、去年は一昨年は、複数の出向者がダウンして途中で自治体に戻っていきました。

自治体に戻ることなく、そのまま退職した人もいました。

 

全ては運です。

もっといえばクラッシャー上司を回避できるかどうか次第。

この意味で、本省出向はかなりリスクの高い選択だともいえます。

 

 

出向生活で得たもの

「本省出向すれば成長できる」と説いているブログなんかも見かけますが、私はあまり成長を感じませんでした。

成長の糧となるような仕事は若手プロパー職員に与えられ、出向者は雑事に専念します。

強いていえば、エクセルのショートカットに詳しくなれた程度の成長はありました。

 

それ以上に得られたのはお金です。圧倒的な地域手当と残業代。

この1年で200万円貯まりました。

 

つまるところ、私の出向生活は「サバイバル生活」であると同時に、「出稼ぎ生活」でした。

業務80

とうとう私の最後の仕事、後任者への引継ぎを終えました。

明らかに緊張している後任者の姿を見ると、一年前を思い出して懐かしくなります。

 

振り返ってみると、私の前任者の引継ぎは「かゆいところにに手が届かない」ものでした。

業務の一般的なルールだけざっくり説明されて「あとは自分で考えてね」で終わり。

片づけきれなかった仕事の存在すら教えてもらえず、いきなり仕事の期限を破る羽目になりました。

 

それに何より、専門用語や個人名を連発してきたりと、自分と同等レベルの内部知識があること前提で万事を説明されたため、内容がほとんど理解できませんでした。

正直、意味のない引継ぎでした。

 

私は前任者を反面教師として活用させてもらいました。

あえて前任者の真似をしないことで、後任に親切な引継ぎになると思ったからです。

 

一年前の「何も知らなかった頃」を思い出し、後任者は何を知りたいだろうか?をシミュレートしつつ、相手の知識レベルに合わせてシンプルな説明を心がけました。

複雑な事柄は、口頭で伝えるよりも、時間をかけて書類を読んで理解したほうが確実です。

教訓27

4月から実際に本省出向する方の中で、「このブログが役に立った」と思う方がいたら、あなた自身も何らかの形で出向日記を発信してみてはいかがでしょうか?

 

地方公務員の本省出向体験談は、確実にニーズがあります。

このブログのような雑な文章でさえ、毎日1,500を超えるアクセスをいただけるほどです。

きちんとまとめて発信すれば、必ずたくさんの読み手に恵まれると思います。

 

情報発信する場合は、ブログがnoteをおすすめします。

TwitterのようなSNSのほうが気軽に投稿でき、反応も貰えて楽しいかもしれませんが、過去の投稿をさかのぼりづらいですし、投稿をカテゴリごとに分けたりもできません。

 

出向体験談は、多少古びても十分価値のある情報です。

そもそもインターネット上に出回っている情報量が少なすぎます。

SNSのようなフロー媒体ではなく、ブログのようなストック媒体で残したほうが、読み手のためになると思います。

 

もちろん守秘義務には気をつけてください。

あと、個人特定されると確実に人間関係が悪化するので、身バレしないように配慮することも必要不可欠です。

内々示5

3月の下旬に入り、私の自治体から電話で内々示をいただきました。

1週間ほど前に方面内示があり、「4月1日付けで本庁勤務」ということだけは聞いていたのですが、具体的な配属先を聞くのは、この機会が初めてです。

 

出向するまでの間、私はずっと庶務を担当してきました。

本当に「ずっと」です。

嫌いでないのですが、正直飽きてきました。

そろそろ一度くらいは「事業担当」、具体的には観光振興みたいな華々しい仕事をやってみたいと思っていました。

 

ただし、私の自治体では「出向経験者は財政課、企画課、福祉課」というジンクスがあり、こういう部署を希望しても漏れるに決まっています。

財政や企画や福祉に行くよりは、再び庶務人生に戻るほうが、ずっとマシです。

 

このような迷いの果てに、私は「庶務担当を続けたい」と人事課に申告しました。

 

そして内々示の結果は……再び庶務担当に戻れました。

今度はかなり大きな課で、予算規模も大きく、複数の国庫補助金が入り混じる複雑なところです。

庶務職人としてワンランクアップした、といったところでしょうか。

ひとまず安心です。

教訓26

私の出向生活で何よりも悔やまれるのは、他の出向者との交流機会がほとんどなかった点です。

 

同じ課のメンバーはさすがにしっかり覚えましたが、隣の課になると顔と名前が全然一致しませんし、どこの自治体から出向してきたのかも知りません。

コロナ前は頻繁に飲み会があって「局全体」で顔見知りになり、出向から戻った後も連絡を取り合える心強い仲間になるらしいのですが……私の場合は全く繋がりを持てませんでした。

 

そもそも連絡先を交換していないので、出向が終わってしまえば、二度と連絡も取れません。

 

新型コロナウイルス感染症のせいで仕方なかった部分もあるとはいえ、もうちょっと工夫できたのではないかと今更ながら後悔しています。

 

出向者どうしは同じ苦難を分かち合う仲間であり、会話する機会さえあれば「吊り橋効果」も働いて仲良くなれます。

プロパー職員の前では絶対に漏らせないような愚痴や悩みを打ち明け合うことができれば、出向期間中の精神的負担も和らぐはずです。

終わりの見えないコロナ禍の中ではありますが、これから出向される方は、出向者同士のコミュニケーションの機会をなんとか確保できないか、考えてみてもいいと思います。