出向者
つい先日、同じ課にいる某県庁からの出向者に、内示が出ました。 出身元人事課から携帯に電話がかかってきて、少し席を外したかと思ったら……ただならぬ表情で戻ってきたので、一堂皆「察し」ました。 彼の4月1日からの異動先は……保健所です。 新型コロナウ…
自治体の中で出向経験が活かせる部署は、財政課や企画課のような官房系ではありません。 こういう部署は組織内調整に長けた人材を配置すべきであり、「自治体組織の外」を下手に知っている出向経験者よりも、ずっと自治体の本庁で勤務している職員の方がふさ…
もしこのブログを読んでいる自治体の人事担当者がいたら、出向経験者への過大な期待を捨てていただきたいです。 これまでの記事で紹介してきたとおり、出向者は大した仕事はしていません。 大量の細かい作業をこなす時間が圧倒的大部分であり、作業そのもの…
本省出向から戻ってきたばかりの職員は、「本省出向を乗り切ったのだから激務耐性がついただろう」と思われているのか、財政課や企画課のような忙しい部署に配属され、さらに部署内でもどんどん仕事を振られがちです。 その結果、出向翌年(自治体に戻った後…
出向から戻ってきたばかりの職員を財政課や企画課のような高度内部調整部門にばかり配置する傾向には、「本省勤務で培った能力が活かせない」という点以外にも、デメリットがあります。 内部調整は、その名のとおり、組織のローカルルールに従ってなされるも…
色々な自治体の出向者と情報交換した結果、出向先省庁がどこであれ、出向経験者は財政課や企画課のような激務系内部調整部門に配属する自治体が多いようです。 人事側からすれば、出向先で得た知見なんてたかが知れているけれど、とにかく激務耐性だけは身に…
年が明けた頃から、出向者たちの表情がどんどん暗くなってきています。 出向を終えて自治体に戻った後の配属先問題が現実味を帯びてくるからです。 配属先に関しては、自治体勤務と比べれば格段に大変な出向生活を終えて「次くらいはのんびりしたい」という…
本省勤務のプロパー職員には高い能力が求められます。 公務員の能力というものは、本や研修で身につけられるものではなく、実務を通して養っていく類のものです。 つまり本省勤務とは、プロパー職員にとって、毎日が修行の場でもあります。 ひたむきに日々の…
まるまる2ヶ月にわたり(在宅勤務ではなく)出勤して働いてきて、出向者の立場というものがようやくわかってきました。 出向者はあくまでも事務補助です。 プロパーの事務官の担当業務のうち、単純作業部分を切り分けて外注しているようなものです。 そのた…
本省プロパー職員の方々は爽やかな細マッチョなのに対し、自治体からの出向者はあからさまに不健康になってきました。 4月に本省勤務をスタートしてから半年分の不規則な生活が、見た目に現れてきているのでしょう。 同じ課の出向者は、明らかにお腹が出て…
学生時代を東京で過ごし地元自治体にUターン就職した人も、自治体に戻らず東京に残留しがちなタイプです。 東京生活を一度経験してしまうと、地方暮らしはどこか物足りなく感じます。 「地方創生」というキャッチフレーズは定着しましたが、実際は全く「創生…
未婚女性が出向する場合、玉の輿結婚を決めて自治体を退職するケースもあります。 東京には、地方とは比べ物にならないほど、高ステータスの男性がごまんといます。 うまくパートナーを見つけられれば、地方公務員人生よりもずっとハイグレードな人生を手に…
出向者の退職は、税金の使途としても痛手です。 普通の職員は自治体運営のために働いており、その給料は自治体運営のためのコスト、つまりは市民サービスのために使われます。 一方、出向者の労働の成果は、あくまでも本省に帰属します。 出向者がどれだけ働…
出向者どうしでカップルが成立するというケースも度々あります。 今のようなコロナ禍でさえなければ、同じ省内・局内の出向者どうしのランチや飲み会がたくさん開かれますし、省庁の壁を超えた出向者どうしの交流イベントもあったりします。 地元を離れて友…
出向者どうしのカップルが成立し、結婚まで到達した場合、たまたま近隣自治体から出向してきた場合を除けば、どちらかが自治体職員を辞めなければいけません。 私が知っている範囲では、女性のほうが辞めるケースが多いです。 出向者・出向経験者の退職は、…
自治体からの出向者には、未婚者も既婚者もどちらもいます。 民間企業だと「家を立てたやつは遠くに転勤させる」という習わしがあるとよく聞きますが、地方公務員の本省出向にはそういう傾向は特になく、未婚者も既婚者も出向します。 既婚者の場合、お子さ…
本省では、「出向者が1人潰れると、2人目、3人目……と続きがち」だとよく言われています。 出向者が潰れた場合、残された他の出向者で仕事を分担して回すことになります。 職員が潰れるのは、たいてい繁忙期です。 本省の繁忙期は、月残業時間が余裕で15…
出向者着任のタイミングは、どの省でもだいたい4月か10月です。 ただし欠員補充の場合は、この原則とは関係なく、「準備が出来次第」着任しています。 各月の1日付けですらなく、月の途中にいきなり着任するのです。 欠員補充で着任した出向者は、通常の…
出向者が潰れて欠員が出た場合、他の出向者が仕事を代替する形で応急処置をしつつ、本省の人事担当において欠員補充を行うようです。 前回も述べたとおり、プロパー職員と出向者の仕事は明確に分かれており、欠員が出た場合のような非常事態であっても、この…
あまり考えたくないケースですが、激務や人間関係のために潰れてしまう(休職してしまう)出向者もいます。 潰れてしまった出向者は、復帰が不可能だと確定した時点で、出向元自治体に戻っていきます。 本省側は1名欠員状態になります。 この1名分の欠員を…
退職派遣職員の給料は、出向を終えて自治体に戻ってからも、低水準状態が続きます。 自治体から国に出向する場合と同様、国から自治体に戻る場合も、「雇用主の変化」が生じます。 つまるところ「転職」と同じです。 事実上「もといた自治体に戻る」だけなの…
昨日の記事で紹介した仕組みのとおり、退職派遣職員の給料は、自治体勤務時代よりも下がることがほとんどです。 特に、自治体で「3級」、つまり主任級まで昇格していた職員の場合、これまでの定期昇給分が保証されないばかりか、さらに事実上の降格を食らう…
退職派遣職員の給料号級は、「2級1号」がベースのようです。 ちょっと古い資料のようですが、インターネット上で見つけた人事院資料によると、2級1号は「185,800円」でした。 これを発射台として、なんらかの基準によって「号」が加算され、ひとりひとり…
公務員の給与は「号級」によって決まります。 職位ごとに決められる「級」と、経験年数によって決められる「号」の組み合わせです。 大まかにいえば、俗にいう定期昇給は「号」の上昇で、昇進による給料アップは「級」の上昇にあたります。 地方自治体からの…
新型コロナウイルス感染症という特殊事情が無ければ、7月・8月は出向者どうしの交流イベントもたくさん開催されています。 出向者の担当業務は課内だけで完結する業務が多く、同じ省内・局内であっても、他課の職員とはほとんど交流がありません。 とはい…
過去の出向者の中には、後進のために業務とは関係のない秘密の引き継ぎ資料を残してくれている人もいます。 日記調の業務ログだったり、おすすめ飲食店情報だったり、業務時間のメモだったり……退職派遣職員の場合、実際の残業時間と残業手当支給額の対照表な…
本省出向の最大の懸念は、「激務のあまり潰れないか」という心配だと思います。本省勤務がきつすぎて途中でドロップアウトする出向者は、実際はほとんどいないようです。(私の出向先省庁が格別に平和なだけかもしれませんが……) 過去の資料を見ていても、途…
私は4月1日付けで出向期間がスタートしましたが、出向者全員が4月スタートではありません。多数派は4月スタートですが、7月や10月スタートという場合もあります。 自治体の場合、主な人事異動は4月と10月ですが、国だと7月にも大規模な人事異動が…
他自治体からの出向者との交流は、省庁派遣の醍醐味の一つだと思っています。特に私は役所人事に興味があるので、どういう職員が出向してきて、出向を終えたらどんな部署に戻っていくのか、非常に興味があります。 私の周囲の出向者から聞くところでは、 こ…
研修職員と退職派遣職員の大きな違いとして、出向期間も挙げられます。研修職員は、長くて2年間までしか出向しません。一方、退職派遣職員の場合、短くて2年間、長ければ4年間ほど出向しています。 出向期間が違うせいなのか、研修職員と退職派遣職員では…