田舎地方公務員の省庁出向サバイバル日記

令和3年度(2021年)に某省へ1年間出向した田舎地方公務員の日記です

業務

業務78

深夜残業ばかりが取り沙汰される国会対応業務ですが、実は朝もかなり早くから始業しなければいけません。 国会は、テレビ中継が始まる前から、もろもろの準備がスタートしています。 そのため、職員はだいたい8:30までには出勤しなければいけません。 本省の…

業務77

省庁間や部局間での答弁の押し付け合い(割り揉め)も、たびたび発生します。 この点も自治体と同じです。 自発的に答弁を書きたがる部局は存在しません。なるべく少ない方がいいに決まっています。 自治体であれば、質問通告から本番まで時間に余裕があるの…

業務76

各課で作成する答弁資料は、自治体と同じく、答弁本体と参考資料のセットです。 問の内容次第では、1問につき10ページを超えることもざらにあります。 とんでもない量の答弁資料作成を可能にしているのは、参考資料のモジュール化と過去答弁のデータベー…

業務75

よく「野党の質問通告が遅いから官僚の残業が増えている」という指摘がなされていますが、実際のところ通告が遅いのは野党議員だけではありません。 野党でも早い議員はいますし、与党でも遅い人はいます。 レクで半日以上も職員を拘束しておいて、さんざん…

業務74

国会質疑では議員あたりの持ち時間が決まっており、事前通告された問が全て実際に問われるとは限りません。 私の体感では、通告した分のうち、実際に問われるのは7割くらいだと思います。 「通告したのに問われない問の割合」も、自治体議会と国会の大きな…

業務73

国会対応の全般的な流れは、自治体の議会対応と大差ありません。 登壇日が近くなると議員からレク要求があり、登壇前日までに質問取り(問取り)が行われたり通告があったりして問が確定、そして前日のうちに答弁をセットします。 ただし、分量とスピード感…

業務72

私の担当業務は、1月半ばの幹部報告をもって終了します。 ここから先は、主に他の職員のお手伝い、主に国会関係の雑用が私の仕事です。 今年の通常国会は初っ端から大荒れでした。 国土交通省の建設受注統計の書き換えと、各省の国会提出資料のミスという、…

業務71

繁忙期にイライラムードが漂うのは、本省特有の事情ではありません。 発生頻度が少ないだけで自治体でも同様ですし、民間企業でもそうでしょうし、思い返せば学生時代の文化祭準備の頃からこんな感じでした。 忙しくなってくると誰かがイライラし始めて、そ…

業務70

繁忙期のイライラ具合は、完全に人それぞれです。 立場には関係なく、その人の個性が出ます。 プロパーも出向者も関係ありません。 同僚にも部下にも、さらには上司に対しても当たり散らす、まさに360度全方位攻撃を展開する人もいれば、人ではなくモノに…

業務69

繁忙期は誰しも攻撃的になりがちです。 程度は人それぞれですが、普段は穏やかな人であっても、月残業時間が80時間を超えたあたりからは、少なからず刺々しくなります。 思うに、残業が続くと睡眠や栄養が不足してきて、一時的に生命の危機に近い状態に陥…

業務68

自治体ではお馴染みの、特段要件も言わずに「課長を出せ」と怒鳴りまくるタイプの電話ですが、本省にもたびたびかかってきます。 もちろん課長につなぐわけありませんし、係長はおろかプロパー事務官にすら絶対に回しません。 こういう電話をあしらうために…

業務67

外線電話を受けていると、省庁OBからの電話もたびたびかかってきます。 名前だけ名乗って「課長いる?」みたいにフランクに話してくるので、すぐにOBだなとわかるのですが、意図的にOB風を装う営業電話やクレーマーも少なくないので、こういう相手はどうして…

業務66

ここまでの一連のエントリで書いてきたとおり、基本的に地方からかかってくる電話は出向者が処理します。 地方議員は全員出向者対応、自治体職員であれば少なくとも課長以上でないとプロパー職員には対応させないのが原則です。 唯一の例外はマスコミです。 …

業務65

「縦割り行政」という批判がいつ頃から始まったのか、勉強不足で私は知りません。 少なくとも私が中学校の頃の社会科(公民)の授業で、「縦割り行政の弊害」という単語が登場していた記憶は薄らながらあります。 電話対応においては、縦割り行政を徹底しま…

業務64

電話対応において私が一番面倒だと思ったのは、士業の方々です。 士業の方々は、たいてい高圧的で攻撃的です。 制度の運用について説明してくれと要求してきているにもかかわらず、こちらの説明に対して「国はそういう思想なんだろうけど実態とはずれている…

業務63

市町村議会の議員、特に町村議会議員からの電話も多いです。 自治体職員の感覚からすると、議員からの電話は課長以上で対応するもので、平職員が電話応対しようものなら政党経由でクレームを入れられるレベルの「無礼な対応」なのですが、本省では地方議員の…

業務62

「こちら側に非があるかどうかは置いといて、相手に不快な思いをさせたことをまずは謝る」のが、自治体の苦情対応のセオリーです。 初手で相手を宥めすかすことで、相手の心をほぐして和解しやすくする効果があるからです。 多くの自治体職員は、この手法が…

業務61

一般市民からの電話は、出向者だけで対応しきるのが大原則です。 いくら「お前では話にならない、上司を出せ」と怒鳴られたところで、「私が担当です」の一点張りで抗戦しなければいけません。 このように書くと、いかにも辛そうに感じられるかもしれません…

業務60

一般市民からの電話における職員側の目的は、相手にいち早く電話を切らせることです。 相手が納得して電話を切ってくれるのが最高の結末で、なかなか電話を切れずに長時間対応し続ける羽目に陥るのが最悪の結末です。 相手がブチギレて電話をガチャ切りする…

業務59

これまで自治体で幾度となく市民対応をしてきた身としては、本省の市民対応はもどかしいです。 電話中に「こういうふうに噛み砕いて説明したら納得しれくれそうだな」というアイデアがぽつぽつと思い浮かんでくるのですが、昨日・一昨日のエントリのとおり「…

業務58

一般市民からの電話対応では、単語のチョイスにも細心の注意を払わなければいけません。 より具体的にいうと、相手の知識レベルに関係なく専門用語で回答するのが原則です。 これは、本省が所管しているような抽象的な施策は、行政側のボキャブラリー・概念…

業務57

本省での電話対応は、自治体よりも一層慎重になる必要があります。 「本省がこう言っていた」という情報は、自治体にとって非常に重いです。 住民運動の成否を分かつクリティカルファクターにもなり得ます。 そのため、本省で一般市民からの電話に対応する際…

業務56

一般市民からの本省への電話問合せのうち、もう一つの典型的パターンは、自治体との係争材料集めを目的としたものです。 すでになんらかの事情で自治体と揉めており、自治体に対して自らの要求を通すための手札として、「本省に聞いたら〇〇と言っていた、お…

業務55

本省に対する市民からの問合せ電話には、大きく分けて二つのパターンがあります。 ひとつは、施策に対する質問や苦言です。 電話の内容はまさに玉石混淆で、的を射た指摘もごく稀にあるものの、大半は施策をそもそも理解していない方が感情を爆発させている…

業務54

これまで説明してきたとおり、本省において出向者はあくまでも外部人材であり、出向者だけで完結する業務はほとんどありません。必ずプロパーの上司に確認を取ります。 ただ唯一、出向者だけで責任をもって完遂しなければいけない業務が存在します。 それは…

業務52

過去のエントリでも「本省では職員が執務室内を走り回る」という点に触れました。 繁忙期になると、むしろ走って移動するのが普通になります。 徒歩移動が許されるのは食事を運んでいる最中くらいで、出力した資料をプリンターに取りに行く際のような短距離…

業務51

自治体と比べると、本省はかなりペーパーレス化が進んでいると思います。 まず、「上司に対してメールで報告する」という行為が認められている点です。 民間企業勤務の方が見たら意味不明な記述でしょうが、少なくとも私の自治体では「目上の人間に対してメ…

業務49

これまで何度も触れているとおり、プロパー職員の方々と比べると、出向者は仕事が少ないです。 それでも残業時間は大差ありません。 これは、上司の確認待ちに時間がかかるからです。 いわゆる「待機時間」が、出向者は長いのです。 基本的に出向者は、自分…

業務48

本省の長時間労働ぶりはもはや世間の常識です。 しかし、長時間本省にこもったまま、具体的にどんな仕事をしているのかを知っている人は、かなり少ないと思います。 自治体職員である私ですら、出向前は正直全然イメージできていませんでした。 強いて言えば…

業務47

私の所属する課は、10月から12月までが繁忙期でした。 1月に入ると放課後のような雰囲気が出て、皆さん表情が和らいできました。 この3ヶ月間、23時までは定時という暗黙の了解ができていました。 22時台に帰る場合は必ず「今日は早く帰っても業務…