田舎地方公務員の省庁出向サバイバル日記

令和3年度(2021年)に某省へ1年間出向した田舎地方公務員の日記です

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

業務59

これまで自治体で幾度となく市民対応をしてきた身としては、本省の市民対応はもどかしいです。 電話中に「こういうふうに噛み砕いて説明したら納得しれくれそうだな」というアイデアがぽつぽつと思い浮かんでくるのですが、昨日・一昨日のエントリのとおり「…

業務58

一般市民からの電話対応では、単語のチョイスにも細心の注意を払わなければいけません。 より具体的にいうと、相手の知識レベルに関係なく専門用語で回答するのが原則です。 これは、本省が所管しているような抽象的な施策は、行政側のボキャブラリー・概念…

業務57

本省での電話対応は、自治体よりも一層慎重になる必要があります。 「本省がこう言っていた」という情報は、自治体にとって非常に重いです。 住民運動の成否を分かつクリティカルファクターにもなり得ます。 そのため、本省で一般市民からの電話に対応する際…

業務56

一般市民からの本省への電話問合せのうち、もう一つの典型的パターンは、自治体との係争材料集めを目的としたものです。 すでになんらかの事情で自治体と揉めており、自治体に対して自らの要求を通すための手札として、「本省に聞いたら〇〇と言っていた、お…

業務55

本省に対する市民からの問合せ電話には、大きく分けて二つのパターンがあります。 ひとつは、施策に対する質問や苦言です。 電話の内容はまさに玉石混淆で、的を射た指摘もごく稀にあるものの、大半は施策をそもそも理解していない方が感情を爆発させている…

業務54

これまで説明してきたとおり、本省において出向者はあくまでも外部人材であり、出向者だけで完結する業務はほとんどありません。必ずプロパーの上司に確認を取ります。 ただ唯一、出向者だけで責任をもって完遂しなければいけない業務が存在します。 それは…

出向者31

自治体の中で出向経験が活かせる部署は、財政課や企画課のような官房系ではありません。 こういう部署は組織内調整に長けた人材を配置すべきであり、「自治体組織の外」を下手に知っている出向経験者よりも、ずっと自治体の本庁で勤務している職員の方がふさ…

出向者30

もしこのブログを読んでいる自治体の人事担当者がいたら、出向経験者への過大な期待を捨てていただきたいです。 これまでの記事で紹介してきたとおり、出向者は大した仕事はしていません。 大量の細かい作業をこなす時間が圧倒的大部分であり、作業そのもの…

出向者29

本省出向から戻ってきたばかりの職員は、「本省出向を乗り切ったのだから激務耐性がついただろう」と思われているのか、財政課や企画課のような忙しい部署に配属され、さらに部署内でもどんどん仕事を振られがちです。 その結果、出向翌年(自治体に戻った後…

出向者28

出向から戻ってきたばかりの職員を財政課や企画課のような高度内部調整部門にばかり配置する傾向には、「本省勤務で培った能力が活かせない」という点以外にも、デメリットがあります。 内部調整は、その名のとおり、組織のローカルルールに従ってなされるも…

出向者27

色々な自治体の出向者と情報交換した結果、出向先省庁がどこであれ、出向経験者は財政課や企画課のような激務系内部調整部門に配属する自治体が多いようです。 人事側からすれば、出向先で得た知見なんてたかが知れているけれど、とにかく激務耐性だけは身に…

出向者26

年が明けた頃から、出向者たちの表情がどんどん暗くなってきています。 出向を終えて自治体に戻った後の配属先問題が現実味を帯びてくるからです。 配属先に関しては、自治体勤務と比べれば格段に大変な出向生活を終えて「次くらいはのんびりしたい」という…

自治体12

淡々と更新している本ブログですが、12月に入ってから突然PV数が伸びました。 4月〜11月は毎日1桁しか閲覧されていなかったのに、12月に入ってから100PVを超える日が出始め、中旬以降は毎日安定して200PV前後で推移しています。 流入元はほと…

職場環境19

繁忙期は、執務室内を駆け足で移動するのがデフォルトになります。 そのため、駆け足で移動するための通路を確保しなければいけません。 本省の執務室は、決して広いとは言えません。 椅子を引く(机から遠ざける)と、すぐに通路が狭窄してしまいます。 な…

業務52

過去のエントリでも「本省では職員が執務室内を走り回る」という点に触れました。 繁忙期になると、むしろ走って移動するのが普通になります。 徒歩移動が許されるのは食事を運んでいる最中くらいで、出力した資料をプリンターに取りに行く際のような短距離…

業務51

自治体と比べると、本省はかなりペーパーレス化が進んでいると思います。 まず、「上司に対してメールで報告する」という行為が認められている点です。 民間企業勤務の方が見たら意味不明な記述でしょうが、少なくとも私の自治体では「目上の人間に対してメ…

業務50

「役所もペーパーレス化せよ」という声は、これまでかなりの長期にわたり、役所の外からも中からも上がっています。 少なくとも私が入庁した頃の新人研修で「コピーも印刷も最小限にすべし」と指導されました。 しかし実際のところ、紙の使用は全然減ってい…

職場生活10

待機時間の有効活用は、有意義な出向生活を送るために非常に重要です。 単にぼーっと休憩しているだけでは勿体ないですし、他の職員(特にプロパーの方々)から顰蹙を買いかねません。 待機時間は、別の言い方をすると、「やることが無いから帰りたいけど、帰…

業務49

これまで何度も触れているとおり、プロパー職員の方々と比べると、出向者は仕事が少ないです。 それでも残業時間は大差ありません。 これは、上司の確認待ちに時間がかかるからです。 いわゆる「待機時間」が、出向者は長いのです。 基本的に出向者は、自分…

業務48

本省の長時間労働ぶりはもはや世間の常識です。 しかし、長時間本省にこもったまま、具体的にどんな仕事をしているのかを知っている人は、かなり少ないと思います。 自治体職員である私ですら、出向前は正直全然イメージできていませんでした。 強いて言えば…

職場生活9

深夜残業が当たり前の繁忙期は、基本的に皆さん職場で夕食をとります。 ほとんどの方がコンビニ飯で、時折カップ麺やカップスープのようなお湯を使う即席系のものを食べていました。 外へ食べに出る人はごくわずかです。 繁忙期は(定時後であっても)突然上…

業務47

私の所属する課は、10月から12月までが繁忙期でした。 1月に入ると放課後のような雰囲気が出て、皆さん表情が和らいできました。 この3ヶ月間、23時までは定時という暗黙の了解ができていました。 22時台に帰る場合は必ず「今日は早く帰っても業務…

業務46

自治体の仕事で「外部関係者」といえば、 市民 議員 企業 マスコミ 国 他の自治体 あたりが代表的です。 本省の場合は、市民と自治体のウェイトがかなり落ちる代わりに、大学という関係者が加わります。 総務系の仕事をしている課を除けば、だいたいどんな課…

業務45

「即レス主義」に順応するためには、まずはとにかく自分の担当業務について暗記するしかありません。 「あの本の○ページを見ればわかる」とか「要項の第●節に書いてある」という、間接的な記憶では不十分です。 質問を受けた際、いちいち本や要項を参照して…

業務44

自治体は基本的に「拙速」よりも「遅巧」を重視する組織です。 とにかく間違えないことが重要です。 一方で本省は、これまで紹介してきたとおり「即レス主義」という文化が根付いています。 間違えないことは大前提で、かつ速さを重視するのです。 このよう…

業務43

自治体からかかってきた電話に本省職員が対応する場合、いわば受動的対応の場合でも、「即レス主義」は遺憾無く発揮されます。 自治体職員であれば、「本省に電話したら煮え切らない回答しかもらえなくて困った」という経験が、誰でも一度くらいはあると思い…

業務42

本省で働いていると、「即レス主義」を四六時中徹底させられるため、これが世間一般の常識であるかのように錯覚しそうになります。 僭越ながら、本省のプロパーの方の中には、このように思っている方も多いです。 この兆候が端的に現れるのが、自治体職員相…

業務41

口頭での質問に対しては原則その場で答えなければいけないという「即レス主義」は、私が勤務している省庁のみならず、霞が関全体に共通する基底文化なのだと思われます。 他省庁からの電話に対し「確認して折り返す」は断固NGです。 電話口で怒られるまでに…

業務40

本省の仕事のペースは本当に早いです。 よほど珍奇な内容でない限り、上司や他課からの質問に対しては即レスで回答しなければいけません。 「確認するので少し時間をください」は許されません。 もし自信をもって回答できない場合であっても、相手の要求水準…

業務39

これまでにも何度か触れてきましたが、出向者が担当する仕事は、同じようなことを毎年繰り返している広義のルーチンワーク的な業務が多いです。 あらかじめ決められた手順やルールに忠実に従い、例年通り性格にこなすのが、出向者のミッションです。 表現を…