業務62
「こちら側に非があるかどうかは置いといて、相手に不快な思いをさせたことをまずは謝る」のが、自治体の苦情対応のセオリーです。
初手で相手を宥めすかすことで、相手の心をほぐして和解しやすくする効果があるからです。
多くの自治体職員は、この手法がすっかり染み付いているでしょう。
しかし本省の電話対応では、基本的に謝ってはいけません。
本省の謝罪は重いです。いち出向者がやすやすと繰り出せるものではありません。
然るべき立場の人間が然るべき場所で行う、これが本省の謝罪です。
相槌のように「すみません」と言い挟んでしまうのも厳禁です。
何に対して発せられたのか不明瞭な「すみません」は、相手に悪用されます。
相手からすれば、出向者の謝罪も事務次官の謝罪も、同じ「本省の謝罪」です。
いずれも非を認め、失敗を是認するものです。
こんな重要な意思決定を出向者ができるわけありません。