田舎地方公務員の省庁出向サバイバル日記

令和3年度(2021年)に某省へ1年間出向した田舎地方公務員の日記です

業務

業務46

自治体の仕事で「外部関係者」といえば、 市民 議員 企業 マスコミ 国 他の自治体 あたりが代表的です。 本省の場合は、市民と自治体のウェイトがかなり落ちる代わりに、大学という関係者が加わります。 総務系の仕事をしている課を除けば、だいたいどんな課…

業務45

「即レス主義」に順応するためには、まずはとにかく自分の担当業務について暗記するしかありません。 「あの本の○ページを見ればわかる」とか「要項の第●節に書いてある」という、間接的な記憶では不十分です。 質問を受けた際、いちいち本や要項を参照して…

業務44

自治体は基本的に「拙速」よりも「遅巧」を重視する組織です。 とにかく間違えないことが重要です。 一方で本省は、これまで紹介してきたとおり「即レス主義」という文化が根付いています。 間違えないことは大前提で、かつ速さを重視するのです。 このよう…

業務43

自治体からかかってきた電話に本省職員が対応する場合、いわば受動的対応の場合でも、「即レス主義」は遺憾無く発揮されます。 自治体職員であれば、「本省に電話したら煮え切らない回答しかもらえなくて困った」という経験が、誰でも一度くらいはあると思い…

業務42

本省で働いていると、「即レス主義」を四六時中徹底させられるため、これが世間一般の常識であるかのように錯覚しそうになります。 僭越ながら、本省のプロパーの方の中には、このように思っている方も多いです。 この兆候が端的に現れるのが、自治体職員相…

業務41

口頭での質問に対しては原則その場で答えなければいけないという「即レス主義」は、私が勤務している省庁のみならず、霞が関全体に共通する基底文化なのだと思われます。 他省庁からの電話に対し「確認して折り返す」は断固NGです。 電話口で怒られるまでに…

業務39

これまでにも何度か触れてきましたが、出向者が担当する仕事は、同じようなことを毎年繰り返している広義のルーチンワーク的な業務が多いです。 あらかじめ決められた手順やルールに忠実に従い、例年通り性格にこなすのが、出向者のミッションです。 表現を…

業務40

本省の仕事のペースは本当に早いです。 よほど珍奇な内容でない限り、上司や他課からの質問に対しては即レスで回答しなければいけません。 「確認するので少し時間をください」は許されません。 もし自信をもって回答できない場合であっても、相手の要求水準…

業務39

どれだけ兼務を命じられようとも大して業務量が増えない自治体とは反対に、本省の兼務事例は仕事が倍増します。 「なんちゃって」ポストは存在せず、本当に機能しているポストを兼務させられるのです。 兼務辞令が発せられると、単純に業務量が倍になるので…

業務38

昨日のエントリでも触れましたが、上司が出張する際、交通手段や宿泊場所の手配は、部下の事務官が行います。 ここまでは自治体と変わりありません。 本省の大きな特徴は、手配した事務官が一旦代金を建て替えるケースが多いところです。 確かに、旅費関係の…

業務37

上司が出張することになったら、部下は色々な準備業務に追われます。 最初に発生するのは交通手段の手配です。 新幹線であれ飛行機であれ、チケットを手配するのは基本的に事務官の仕事です。 宿泊付き出張の場合は、ホテルも手配します。 新型コロナウイル…

業務36

民間企業とは異なり、公務員界隈には「仕事用携帯電話」という概念がありません。 国家公務員であれ地方公務員であれ、皆さん私物の携帯電話を仕事にも使っています。 上司とLINEで友達になるのは当たり前ですし、観光課のような外部の人とのやりとりが多い…

業務36

厳密には「霞が関用語」ではありませんが、印刷関係の業界用語にも注意が必要です。 色々な冊子類の原稿作成も、本省の重要な仕事です。 本省では、自治体でも使っている「〇〇の手引き」のような小冊子や、「●●白書」のような年報など、様々な印刷物を発行…

業務35

プロパー職員の方々にとって、「霞が関用語」は日常の一部です。 知っていて当たり前ですし、そもそも馴染みすぎて、自分たちが「霞が関用語」と呼ばれる独特なボキャブラリーを用いているという認識が消失しているかもしれません。 そのため出向者は、着任…

業務34

「マンデート」という霞が関用語……というか概念にも留意が必要です。 「マンデート」とは、簡単にいうと、「権限委譲されている状態」を指します。 「裁量がある状態」ともいえるでしょう。 例えば、 他課からの情報提供依頼は基本的に係長に確認してから返…

業務33

トラブルになる前にプロパー職員の方に真意を教えてもらえたので何を逃れましたが、「ライン/スタッフ」という単語にも悩まされました。 「ライン/スタッフ」といえば、経営学の用語が真っ先に思い浮かぶ方のほうが多数派だと思います。 製造業でいえば、…

業務51

ただし、繁忙期は紙を浪費しまくります。 あらゆる資料をあらかじめ印刷して準備しておかないと、上司からのオーダーに応えられないからです。 繁忙期の業務は、課内だけでは完結しません。 局長だったり事務次官だったり、さらに上の職位の方々との調整が入…

業務32

「霞が関用語」に関して、私も実際に落とし穴にハマってしまいました。 私を陥れたのは、「レク」です。 「レク」は「レクチャー」の略で、「何かを教える」という意味で日常的に用いる単語です。 しかし霞が関においては、 資料に基づいて目上の人に説明す…

業務31

「霞が関用語」には、大別すると2つのタイプがあります。 一つは、霞が関でしか使われていない独自の単語です。 「割りモメ」あたりが典型です。 今となっては役所界隈で広く使われている「ポンチ絵」も、元はこのカテゴリーの霞が関用語だったのでしょう。…

業務30

公務員であれば誰であれ「霞が関用語」という用語を聞いたことがあるでしょう。 最近は報道などでもよく使われる表現なので、もはや公務員でなくても広く知れ渡っているかもしれません。 実際に霞が関で働いてみて、私が想像していた以上に、独特の用語群が…

業務29

自治体では、仕事が忙しい様子を言い表す慣用句として「庁内を駆け回っている」という表現を使います。 複数の課が絡む調整業務や全庁的なプロジェクトの際によく使う表現です。 本省でも同様に「省内を駆け回っている」という表現を使いますし、さらには実…

業務28

先日の業務中、管理職から「今年の『れんちゅう』の金はどうなっているんだ?」という声が聞こえてきました。 「れんちゅう」という音から真っ先に思い当たるのは「連中」。 よろしからぬ人間集団を指す言葉です。 私は最初、あまり評判のよろしくないどこか…

業務27

臨時国会が閉会し衆議院が解散されると、省内は秋休みムードが漂いました。 10月上旬は「終電が定時」状態だったのに、ものすごい温度差です。 衆議院選挙期間中は、国会議員の皆さんは選挙活動に全精力を注ぎます。 これは政務三役も同様です。 政務とし…

業務26

本省ならではの業務の一つに、自治体からの要望対応があります。 首長をはじめ自治体の幹部が本省にやってきて、予算拡充や新規事業、あるいは自団体に有利な法律や制度の運用などを「お願い」していくのです。 例年であれば、概算要求が始まる前、だいたい…

業務25

政務三役の交代に伴い、小規模ながらも人事異動が発生します。 このタイミングで異動するのは、主に三役の秘書・調整担当です。 職位的には補佐よりも上かつ課長よりも下、「室長級」くらいのポストなのだと思われます。 昇進のタイミングではないようで、元…

業務24

新政務三役が決まったら、怒涛の日々が始まります。 まず対応しなければならないのが、やはり所管業務のレクです。 総裁選期間中から準備しておいた基礎的事項の資料集に、新政務三役からのオーダーを加味して、資料を追加していきます。 新政務三役は、省の…

業務23

各省の業務の直接影響してくるのは、新総裁よりも新政務三役です。 新総裁が政務三役を続投させる方針の場合は、特段の作業は発生しません。 総裁選前の体制が続くわけで、特に対応する必要がありません。 しかし、今回の総裁選のように、選挙時点から「人の…

業務22

総裁選に出馬する、候補者の顔ぶれが判明してくると、ぼちぼち「候補者の著書の読み込み」という業務が発生しました。 目的は、各候補者が総裁に選出された場合の業務への影響を予測することです。 まずは各候補者がこれまでに書いた著書を買い集めます。 イ…

業務21

菅前総理の退陣表明から10日間くらいは、局内全体がお休みムードになりました。 局長が年休をガンガン取得して、それに引き続きて課長陣が休み、係長以下も交代で休み……という形で、夏期休暇の取得状況に関係なく、全員がどんどん休暇を取得しました。 出…

業務20

今年の9月30日、自民党総裁選が実施され、岸田総裁が選出されました。 与党の代表を決める選挙は、次の内閣総理大臣の選出とほぼ同義であり、霞が関に与える影響も非常に大きいです。 内閣総理大臣が交代すると、それに続いて閣僚人事があります。 各省の…